四国山地(石鎚山~剣山)連続縦走の旅
四国中央部を県境に沿って東西に走る四国山地。赤線は今回の縦走ルート。
今回の四国山地連続縦走の旅は、西日本最高峰”石鎚山”から第二高峰”剣山”へ、計51座の山々を西から東へと連続縦走する12日間に及ぶ人生最大の山旅でした。
高知県、愛媛県、徳島県の県境にどっしりと横たわる四国山地を代表する”石鎚山”、”剣山”の間には数々の山が連綿と繋がっています。その壮大な四国山地の姿を見る度に、この美しい山々を連続縦走してみたいとずっと夢を抱いていました。
登山を本格的に始めておよそ3、4年ほど。コツコツと四国の山に登り、里山から高山まで様々な山へ行き、動植物や絶景との出会いを楽しみながらゆっくり歩く自分のスタイルを徐々に形にすると共に、確かな経験と自信を築き、2020年5月、この縦走の旅を実現することができました。
縦走の全貌(ハイライト)
今回の山旅で最も危険だった山”子持権現山”。
今回の縦走の旅をするにあたり、各山での所用時間や水場、宿泊適地などを事前に調べ、一日毎の計画を立てました。ちなみに、山の数え方は山名がつけられている、あるいは山頂に山名の看板があることを基準とし、計51座としました。
具体的には、ルートを大きく3つのセクション「石鎚山系」「嶺北エリア」「剣山系」に分け、計14日間の日程とし、5日目”大座礼山”(大川村)、9日目”野鹿池山”(大豊町)にそれぞれチェックポイントを設け、食料や衣類など必要な物資を事前に配置しました。つまり、各セクションでは最大約5日分の食料と必要な物資を持って歩きました。
結果的に、計画より早いペースで歩くことができ、両チェックポイント共に予定より早く通過し、計12日間の山旅になりました。
セクション1:石鎚山系(石鎚山~大座礼山)
「不安を振り払う爽快かつ壮大な絶景の旅の始まり」
縦走の最初の山”面河山”から見る西日本最高峰”石鎚山”。これから始まる長い山旅にワクワクしつつもどこかに不安も。
西日本最高峰”石鎚山”をはじめ、”瓶ヶ森”、”笹ヶ峰”、”平家平”といった人気の山々が連なり、登山道は明瞭で歩きやすい山域で、気分爽快の最高のスタートを切ることができました。
長い旅の始まりで、不安と重いザックがのしかかってきましたが、背後に登頂した山が増えて行く度に、自然と自信が湧き、この素晴らしい冒険ができることへの感謝の気持ちが芽生え始めました。
1日目:面河渓谷~面河山~愛大避難小屋付近ビバーク地
“面河渓谷”からスタート。相変わらずの美しい渓谷美。
石鎚山登山口。鳥居を目の前にし、身を引き締める。
“面河山”まではあちこちで水が流れていました。
枯葉蛾の仲間でしょうか?
“面河山”まで登ると”石鎚山”が姿を現します。
“愛大避難小屋”到着。最初の夜を小屋で快適に過ごそうと予定していましたが、山小屋関係者の方が作業で使用されていたので、教えてもらったテント場でビバーク。
2日目:ビバーク地~石鎚山~土小屋~岩黒山~よさこい峠~伊吹山~山荘シラサ付近ビバーク地
最高の朝。土小屋はまだガスの中。太陽が直に吹き飛ばしてくれる。
壮大な笹原とシコクシラベの林。
朝から贅沢な景色、雲海。
“石鎚山”山頂。山頂神社の方に神水を頂きました。物資運搬のヘリが飛び、爆風と爆音だったのですぐに撤退。
石鎚桜。
“土小屋”にて最後のチャージ。猪ソーセージ鉄板ナポリタン。
“岩黒山”登山道。モミと笹の雰囲気の良い森。
“岩黒山”から今朝登った”石鎚山”を正面に見る。
ソウシチョウ。中国原産の外来種で日本固有種に影響を及ぼしているとのこと。標高の高い笹のよく茂った場所で見かける鳥では常連。
“土小屋”から”瓶ヶ森縦走路”に入り森を進む。
“伊吹山”山頂。ガスがかかり眺望はないものの、一日最後の頂は気分が良いです。
“シラサ山荘”から少し北にある広場でビバーク。
3日目:ビバーク地~子持権現山~瓶壺~瓶ヶ森(女山、男山)~西黒森~自念子ノ頭~東黒森~伊予富士登山口ビバーク地
最高の朝。登山道は笹の中。朝露でびしょびしょになる覚悟を決める。
“石鎚山”がもうあんなに遠くに見える。
突如、巨大な岩山が立ちはだかる。柏島(大月町)の巨岩海岸線を思い出す。
“子持権現山”登山口。祠で安全祈願して行きましょう。ここの鎖場は冗談抜きで危険です。
“子持権現山”山頂。背後には”瓶ヶ森”が見え、眺望抜群。
“手箱山”(左)”筒上山”(中央)”岩黒山”(右)と”石鎚山系”南部を代表する山々が一望できる。
ほとんど垂直の鎖場。登る価値はあるが、下る勇気も必要。
左に”子持権現山”、右に”石鎚山”。何て美しい。
“瓶ヶ森”登山道から”石鎚山”を見る。
“瓶壺”。自然の恵み。
笹の背丈が揃い、スカッと気持ちが良い景色。
“瓶ヶ森”山頂。
山頂からは目指す山々が連なって一望できる。贅沢な景色。
石鎚桜と再会。5月でも見られる可愛い桜花。
ダケカンバの隙間から”瓶ヶ森”。
“西黒森”山頂。
山頂からはUFOラインを代表する絶景が満喫できる。
“自念子ノ頭”山頂。
振り返ると”自念子ノ頭”の頭が目立つ。
今日の最後の山”東黒森”山頂。
明日目指す”伊予富士”を正面に今日のビバーク地を目指す。
“伊予富士”登山口。水場もあり一夜なら文句なし。
バイクで日本一周中のお兄さんに果物を頂きました。ありがとうございました。果物があれほど甘く美味しく感じたのは初めてで、体に沁みました。
4日目:ビバーク地~伊予富士~桑瀬峠~寒風山~笹ヶ峰~ちち山~冠山~平家平~三森峠ビバーク地
最高の一日の始まり。後ろに”東黒森”を見ながら”伊予富士”を目指す。
“伊予富士”山頂。
“石鎚山”をはじめとする名峰達を眺めながら過ごす朝一の清々しい時間。
“寒風山”~”平家平”まで続く今日の縦走路。
“伊予富士”を振り返る。独特な形は個人的には富士山を連想することはできない。
“寒風山”が光輝き、次に待ち構える。
“桑瀬峠”にて休憩&朝食。土曜日ということもあり、多くの人が峠を通っていく。今日は”寒風山””伊予富士”五分五分の人気に見えました。
リョウブの新芽と”寒風山”。冬には霧氷景色を楽しむことができる眺望場所。
オオカメの木の花が甘い香りを放ち、”伊予富士”方面の絶景に花を添える。
ブナの大木。新芽は食べられる。個人的には野イチゴの渋さのある特有の味。
“寒風山”山頂。
山頂から”石鎚山”方面を見る。
“笹ヶ峰”と”ちち山”が次に待ち受ける。今年2月の豪雪の日以来。その日はヒゲすら凍る始末。
“嶺北エリア”の山々が見えだし、いよいよ山旅が本格化していく予感。
“笹ヶ峰”山頂。多くの人の前では自撮りを控えた。なんとなく。
“ちち山”の背後からガスが立ち込め、上昇していく。稜線がくっきりと見え、美しいコントラスト。
“笹ヶ峰”を振り返る。
“ちち山”山頂。
“冠山”~”平家平”へと伸びる美しい稜線。今日は”丸山荘”にてテン泊する予定でしたが、快調に来ているのでさらに進むことに。
“冠山”へと続く道はブナやモミの木々が棲み分けし、歩きやすい気持ちの良い登山道。
“冠山”山頂。
“ちち山”を振り返る。
“冠山”を振り返る。
“平家平”山頂。
飢えに近い空腹だったため山頂ラーメンを頂く。
“平家平”からの登山道は広く歩きやすく快適。バイケイソウがあちこちで群生。
ハウチワカエデの葉っぱが緑以上に緑。
“三森峠”でビバーク。左奥の道を5分程下ると水場もある。第1チェックポイントを目前にして快眠。
5日目前半:ビバーク地~三ツ森山~鉄塔広場~大座礼山~チェックポイント1
山一帯がガスに覆われ、神秘的な姿に。
“三ツ森山”山頂。初日と比べて顔がすっきりした気がする。
“大座礼山”へと続く登山道は歩きやすく、朝露で濡れた葉っぱが輝きより一層緑が増す。
大川村方面を見下ろす。
北に”赤石山系”を見る。
ツクシシャクナゲの花。
“鉄塔広場”にて朝食。
“大座礼山”山頂。
ブナの大木。
“大座礼山”は山頂付近と途中の原生林が見ごたえあり。光が差し始め気分も上向き。
第1チェックポイント”大座礼山登山口”。岩の下に食料などを隠していたが無事でした。太陽が出てきたので全てを干しながら昼食。
いざ”嶺北エリア”へ!
セクション2:嶺北エリア(東三森山~市女笠山)
「静寂と孤独の冒険」
8日目”三ツ足山”から雨上がりの山々を眺める。前日、雨に降られ、びしょ濡れになり心折れていたところ最高の恵みを頂く。
石鎚山系と剣山系に挟まれた嶺北エリアは、野地峰や大森山など比較的玄人向けの山が多く、不明瞭な登山道や背丈を越す笹藪など苦労の多い山域でした。今まで一度も行ったことのない山が多く、歩き辛さと相まって心身共に一番疲弊しました。
今回の縦走の旅で一番ハードでしたが、同時に一番冒険感のある山域でした。
5日目後半:チェックポイント1~東三森山~別子山~大野山手前ビバーク地
少し道路を歩いて、”東光森山”登山口へ。
この山を一言で表すなら、「急登」。途中、お会いしたご夫婦に水の入ったペットボトルを頂きました。ありがとうございました。
“大座礼山”~”石鎚山”まで見渡すことができる。景色や植生などから見ると、「石鎚山系」と「嶺北エリア」はやはり異なる山域であると感じられる。
“東光森山”山頂。
かなり登り応えのある山。20キロ以上のザックを背負って登る山ではない。
ブナやカエデ類が混生する登山道。何度見ても飽きることはない美しさ。
“別子山”山頂。ここから無名の山々の連続。
山頂は登山道。
次の山の手前にてビバークすることに。イノシシさんが突撃してこないことを祈る。
6日目:ビバーク地~大野山~野地峰~黒岩山~大登岐山~兵庫山~玉取山ビバーク地
「石鎚山系」の主に笹原に覆われた登山道とは異なり、ほとんど下草のない歩きやすい道。
目の前は恐らく次の山”大野山”。
バイケイソウの花穂が徐々に成長してきている、花を見られるのはすぐかもしれない。
“大野山”山頂。登山道にいきなり山頂。
ブナの枝を伸ばす姿は美しい。
シロヤシオの花。
アセビの低木が可愛い。
今日の登山道を一望。
“野地峰”山頂。山頂から南へ約10分下ると沢が流れていました。
“野地峰”を振り返る。
枯木もまた美しい。
“黒岩山”山頂。この山域の山頂はなんとも認識し辛い。
山頂は幅広く長い独特な形。ピクニックするには最適。
ブナの巨木。今まで見た生きている個体では最大級。
“黒岩山”~”大登岐山”への道は不明瞭かつ背丈を越える笹藪を抜ける必要があり大苦戦。
獣道にしか見えない。GPSを活用しながら道を間違えないように慎重に進む。
ふと振り返ると笹原のど真ん中。ダニもいるので注意。
“大登岐山”山頂。
看板から奥へ進むと眺望の良い先端部に出る。
“野地峰”方面を見る。「嶺北エリア」は他2セクションと比べて平均標高が低いためか、緑が濃く、動植物共に種類が多かった。
緑のグラデーションが美しい。
基本的に県境尾根を歩くため県境杭が目印になる。
“兵庫山”山頂。
「石鎚・剣山系縦走記念」とある。今から約50年前の真冬。相当過酷な山旅だっただろう。
カモシカさん。
容赦ないアップダウン。可能な限りゆっくり歩くことが、結果的に一番早く歩くコツ。
こちらも正規の登山道。
アナグマさん。餌探しに夢中。
“玉取山”山頂。
山頂でビバーク。ここまで来ると、疲れでどこでも寝られる、何を食べても美味しい、という全く「欲」のない境地に達する。
7日目:ビバーク地~猿田峠~大森山~佐々連尾山~あすなろ峠~中川峠~三ツ足山ビバーク地
朝一のブナ。目が覚める美しさ。
カエデの大木がそびえる不思議な空間。
“猿田峠”から”大森山”を見る。
“猿田峠”から”白髪トンネル登山口”方面へ約5分下ると水場がありました。
“大森山”は岩場が多い。こういう場所では四肢をしっかり使うことで体力を温存し安全に進むことができる。
昨冬に霧氷に覆われていたブナには新緑が芽生え、再会を楽しんだ。
“大森山”山頂付近はブナの巨木たちと瀬戸内海から太平洋まで見渡すことのできる気持ちの良い登山道。
“大森山”山頂。
“佐々連尾山”へ笹原の中を進む。
“佐々連尾山”がガスに覆われている。笹原に覆われたゆるやかな尾根を登る。
“佐々連尾山”山頂。”大森山”からの登山道は天気が良い時は特に気持ちの良いまっさんおすすめの縦走路。
いつ雨が降り出すかと少し不安。景色が見られるだけラッキー。
笹に覆われているが登山道は明瞭。早朝や雨の日はスパッツ必須。
途中、登山道が不明瞭な箇所もあるので、GPSで現在位置を確認しながら、不意に標高を落とさないように歩くことが重要。
この山域はブナやカエデの大木の生い茂る登山道が多く、小雨で濡れて光輝く。
もはや獣道のような登山道。”中川峠”~”カガマシ山”までは笹の中を進む道が多く、人が歩いた跡を見つける能力を身に着けた。
今までに見たことない個性的な樹形。
正規の登山道を外れたか、ここを下ることに。頭上が開けて気持ち良い。
アクロバティックなカエデさん。
“三ツ足山”山頂付近の開けた広場。南には”奥工石山”がそびえる。
“三ツ足山”山頂。山頂に着くや否や雨が強くなりビバークすることに。
山頂付近で緊急ビバーク。(写真は翌朝)この日は夜まで雨に降られ、緊急ビバーク。
8日目:ビバーク地~カガマシ山~橡尾山~笹ヶ峰~三傍示山~野鹿池山山小屋
長い夜が明け、最高の目覚め。
なんとか今夜は”野鹿池山”山小屋で快適に一夜を過ごしたい。なにより全て乾かしたい。
やっぱり青空が見えると気分も晴れる。こういう長い山旅には何よりも必要かもしれない。
“カガマシ山”山頂。
“カガマシ山”山頂付近は尾根幅が広く歩きやすく快適。
“橡尾山”山頂付近は笹が高く生い茂り、登山道も不明瞭。
“橡尾山”山頂。山頂らしくない山頂。眺望は乏しく、周囲は笹藪。
山頂から東面は”大登岐山”を思わせる笹藪地獄。進むべき方角だけ明確にし突入する。
バイケイソウの花が咲いている。藪漕ぎが報われました。
“笹ヶ峰”山頂。今回の山旅で一番標高の低い山。昔、参勤交代で将軍や侍たちがここを通過したらしい。さぞ過酷な山行だっただろう。
“三傍示山”山頂。
どこにでもあるような植林帯の急な山を下りていく。散ったアカガシの葉っぱがかなり滑る。
ユウレイソウの群生。
“三傍示山”から尾根を下りて、林道に突き当たったところに水場。
林道から県境尾根に戻る登山道が分からず、林道を歩き続けることに。
“野鹿池山”山小屋。今日は快適に夜を過ごすことができる。トイレと水場もあり贅沢な夜を過ごしました。
太陽が出ている間にいろいろ乾燥させる。翌朝濡れた服を着ることほど、気が滅入ることはない。太陽に感謝。
9日目:山小屋~野鹿池山~黒滝山~三峯示山~市女笠山~土佐岩原(大豊町)
気持ちの良い朝。「嶺北エリア」最終日。あっという間でしたが、待ち焦がれていました。
“野鹿池山”登山口。鳥居をくぐり、清々しい気持ちで登り始める。
山頂近くの湿地帯はコケやつるシキミなどが地を覆い、緑で埋め尽くされている。
“野鹿池山”山頂。
大豊町奥大田集落からの”黒滝山”登山道との合流点。
金網に沿って尾根を進み、”黒滝山”を目指す。この時は、「嶺北エリア」最後の山だと思っていました。
“黒滝山”山頂。看板らしきものを見つけられずも、GPS上は山頂にいるようで自撮り。吉野川を目指すのみ。
県境尾根を進み続ける。基本的には植林帯となり、文明社会が近くなりつつある感じがし始める。
“三峯示山”山頂。予期せぬ看板が出現。本やアプリではこの山の情報はなかったが嬉しい発見。
ユウレイソウ。初夏に見られるなんとも美しい花。しばしば群生して、楽しませてくれる。
“市女笠山”山頂。「嶺北エリア」最後の山。他にも山があるかもしれない。
“市女笠山”から最寄りの林道までは沢沿いの傾斜のきつい登山道。
カワガラスさん。
この茂みから出てきた。登山道には見えない。
道路に出て、大豊町の美しい山々と集落の景色を見ながら吉野川を目指す。
吉野川沿いにある「なかとよや」にて昼食にカツカレーを食べる。始終にやけが止まらない美味しさ。道路の反対側には次に目指す”土佐岩原集落”が見える。
「なかとよや」の方々の営業する「ゲストハウスたかもとや」に泊めさせて頂くことに。土佐岩原集落に位置し、ルート上かつ、景色も抜群の素晴らしい宿。
9日目にして、久しぶりのお風呂と窓からの絶景。贅沢過ぎる。
明日は写真上のはげた植林帯を越えて県境尾根に復帰し、最後のセクションへと突入。宿で洗濯、食事、充電など全てすることができ、最高の時間を過ごす。
セクション3:剣山系(三方山~剣山)
「待ち焦がれた景色と瞬間を味わう贅沢な稜線歩き」
“三嶺”から”西熊山”方面を見る。「剣山系」を代表する笹原に覆われた美しい稜線。
西日本第二高峰”剣山”をはじめ、土佐矢筈山、天狗塚、三嶺、といったお馴染みの名だたる山々が連なる、最後にふさわしい山域でした。
何度も歩いたことのある”三嶺”が見えた時は、これまでの達成感と共に安心感が湧き、旅が終わる寂しさもこみ上げてきました。
10日目:土佐岩原~三方山~弘瀬山~京柱峠~小檜曽山~土佐矢筈山~矢筈峠ビバーク地
岩原八幡宮から山へ入って行く。朝からこの階段はこたえる。
植林の伐採地から吉野川と土佐岩原を見下ろす。
山姥伝説の池。
県境に沿って植生がきっぱり分かれている。
“三方山”山頂。「剣山系」最初の山。
広々として歩きやすそうに見えますが、ザックが木々に当たり非常に歩き辛いです。シロモジ街道。
“弘瀬山”山頂。
すすき原から「剣山系」が一望できる。
ツツジが山旅に花を添える。
京柱峠にて水場が見つからず、キャンプ中の男性(中越さん)に尋ねると快く水を分けて下さった。ありがとうございました。
“小檜曽山”原生林。原生林の広い尾根は歩きやすく美しく大好き。
モミ林。富士山中腹の素晴らしい森を思い出す。
稜線まで登ると美しい笹原に覆われた穏やかな山容となり、「剣山系」に入ったと実感。
“小檜曽山”山頂。
うっすら見えるタワーのようなものが立つ山は”梶ヶ森”。
いわゆる、”ニセ小檜曽山”。
“土佐矢筈山”へと伸びる美しき稜線。
“小檜曽山”山頂周辺にはツツジの群生地が多く見られ、ちょうど見ごろの時期。
荷物を一日中背負い、下した時の身軽さ、自由さにはいつも驚く。
“土佐矢筈山”山頂。ご覧の通り、かなり疲れました。土佐岩原からの道のりは予想以上にきつかった。
山頂から”三嶺”方面を見る。
“矢筈峠”から”綱附森”登山口へ歩く。
途中、ホースから水が出ているのを発見。労せず、水場を見つけられてラッキー。
“綱附森”登山口にてビバーク。水場も近く、ネットも繋がる。
今回の山旅の間、ずっと雲が多かったですが、夕時は赤焼けて美しいです。
11日目:ビバーク地~綱附森~地蔵の頭~天狗峠~西熊山~三嶺~東熊山(カヤハゲ)~白髪山避難小屋~平和丸~高ノ瀬~丸石避難小屋
待ち焦がれた”三嶺”エリア。最終日は雨予報なので、今日は行けるところまで行きたいところ。
“土佐矢筈山”がもうあんなに遠く見える。
“綱附森”を”矢筈峠”から登るのは初めて。比較的緩やかで登りやすい。同じ山でもルートを変えるだけで景色も楽しみ方も変わる。
“土佐矢筈山”を最後に眺める。
“綱附森”山頂。個人的に大好きな山で、眺望の良さは最高級。
山頂でお会いした方々。剣山から縦走中の男性と朝”矢筈峠”でお会いした女性。果物などくださり最高の休憩。ありがとうございました。
“綱附森”と言えば、この絶景。ゴールの”剣山”も見える。
“綱附森”を振り返る。山頂手前の登りは笹漕ぎエリアがあるが、その他は歩きやすく、眺望が良く、山容の美しく、非の打ち所がない。
鹿さん、ダッシュ寸前。
“地蔵の頭”山頂。かなりの急登で体力消耗。道中、倒木の枝が肩に刺さり服がワイルドに。
“牛の背”方面を見る。
“お亀岩避難小屋”にて昼食&水場で補給。
“西熊山”山頂。
“三嶺”はもう目前。
“三嶺”山頂。今回の山旅を応援してくださっていたヤスさんと遭遇。4月の赤石山系での練習登山でお会いし、ここで再開。かなり力頂きました。ありがとうございました。
“三嶺ヒュッテ”、奥には”剣山~次郎笈”が見える。
山頂から”カヤハゲ”方面を見下ろす。
“三嶺”を振り返る。
“カヤハゲ(東熊山)”山頂。
二ホンシカさんみたいに森を駆け回れたらな。
“白髪山避難小屋”から”三嶺”を見る。
“平和丸”山頂。
“剣山”と”次郎笈”が正面に見えだした。とうとう明日でゴール。
“高ノ瀬”山頂。
“丸石避難小屋”。”矢筈峠”からかなり頑張り、ゴール最寄りの小屋にて最後の夜を過ごすことに。
「ゲストハウスたかもとや」で頂いたビールと防災カレーで最後の晩御飯。ありがとうございました。
12日目:山小屋~丸石山~次郎笈~剣山~見ノ越登山口
早朝に雨の音で目覚める。降りやまず、雨の中出発。美しい森。
開けた稜線に出るやいなや強風に乗った雨が襲って来始める。
“丸石山”山頂。
びしょ濡れ、寒い、早く帰りたい。
“次郎笈”山頂。
“剣山”山頂。とうとう最後の頂まで来た。達成感と満足感と共に、寒さと雨で早く下山したい気持ちが溢れる。下山し、すぐに着替え、祖谷そばを食べる。贅沢なひと時を過ごし、山を後にする。
水場
四国山地にはほとんど営業小屋がなく、自力での水調達は必至でした。5月ということもあり日中はかなりの汗をかき、食事の度に多量の水を消費し、一日に必ず一度は水場に立ち寄る必要がありました。
計画では、最大3リットルを携帯できる容量を用意し、宿泊地を水場の近くにすることで、一日の最後にしっかり食事と水分補給ができ、翌朝にも水を満タン持っていけるように考えていました。
結果的に、予定より早いペースで歩き、水場のない場所でビバークすることもありましたが、毎日一度は水場で補給できたため、水不足で困ることはありませんでした。飲み水は全て浄水器(ソーヤーミニ)でろ過することで安全性を確保しました。
以下、今回使用した水場をご紹介します。
【1日目 ”愛大避難小屋”】
“面河渓谷”からのルートでは頻繁に水場が見られました。初日ということもあり水に困ることはありませんでした。
【2日目 ”岩黒山”】
“岩黒山”下山中、”丸滝小屋”から”土小屋”へ向かう登山道上に水場がありました。
【3日目 ”瓶壺”、”伊予富士” 】
“瓶ヶ森”にある名水”瓶壺”。水を頂けるだけでなく、その美しい流れに癒されます。
“伊予富士”と”東黒森”の間に位置する登山口。沢が流れていて、今回はビバーク地としても活用しました。
【4日目 ”三森峠”】
“三森峠”から約5分下ったところにある沢。写真がこれしかなかったですが、きれいな沢で豊富な水が流れていました。朝の”伊予富士”登山口からここまで水が持って良かったです。
【5日目 ”大座礼山”】
“大座礼山”は”大北川源流”、登山口にある沢と水が豊富でした。写真は登山口近くで奥に入っていけば大き目の沢があります。
【6日目 ”野地峰”】
野地峰の山頂から約10分下ったところに沢が流れていました。縦走を始める以前の天気次第でどれくらい下る必要があるか変わりそうです。
【7日目 ”猿田峠”】
“大森山”手前に位置する”猿田峠”から約5分南へ下ったところに沢が流れていました.
【8日目 ”三傍示山”、”野鹿池山”】
“三傍示山”から南へ尾根を下っていくと林道に突き当たり、その下に沢がありました。道はなく獣が下りたような跡を辿り沢へ向かう途中、自分が彼らと同じことをしていると思い、野生であることを感じました。
“野鹿池山”登山口の横に山から水が引かれています。山小屋、トイレ、水場と全て揃っていました。
【9日目 ”市女笠山”】
“市女笠山”から県境尾根を進み続け傾斜のきつい植林帯を下り始めると沢が流れていました。これも”吉野川”に辿りつくのだろう。
【10日目 ”矢筈峠”】
“矢筈峠”から”綱附森”登山口へ向かう林道脇にあるホースから水が流れていました。”京柱峠”で水場を見つけられなかったのでこの発見はラッキーでした。
【11日目 ”お亀岩避難小屋”】
“お亀岩避難小屋”から約3分下ったところにある水場。
装備品
|
名前 |
メモ |
テント |
・Naturehike Cloud Up1 |
防水性〇、広さ△、コスパ〇、重量〇
3シーズン用ながらも問題なし、少し朝露侵入、道具をテント内に入れるとかなり窮屈 |
登山ザック |
・モンベルトレッキングパック55 |
なんとか全てパックしたものの、今回の装備を考えると容量65L以上欲しい |
寝袋 |
・Snugpack Sleeper Zero |
気温0度以上なら快眠、重量△ |
マット |
・CORNMIエアマット |
コスパ〇、快眠 |
タープ |
|
祖父の使っていたものをマットや日除けとして活用、防水性のもの必携 |
ストーブ |
・Artliesシングルバーナー |
コスパ〇、火力〇、軽量〇 |
ODガス缶 |
・ColemanOD缶(230g) |
約5日間は余裕で持つ、下記ポット内に完璧に収まる |
食器類 |
・Snowpeakトレック900ポット
・普通のスプーン、フォーク |
湯沸かし、袋麺調理など問題なし
ポット内にOD缶、ライター、バーナー全て収まる |
合羽 |
・市販のもの |
登山用は持っていないので、市販のもので代用 |
スパッツ |
・モンベルライトスパッツロング |
朝露のため毎朝着用、必須 |
登山靴 |
・KEEN TARGHEE-EXP -MID-WP |
軽量かつデザインもお気に入りだが、壊れやすい
チェックポイント毎に交換が理想 |
サンダル |
・ワークマンのつっかけ |
夜やくつろぐ際に活用 |
セカンドバッグ |
・モンベルポケッタブルパック |
水場へ水補給の際に活用 |
トイレ用品 |
・トイレットペーパー |
1ロールで十分(もちろん持ち帰り) |
ナイフ |
・BROWNING折り畳みナイフ |
念のため、今回は使用なし |
ヘッドライト |
・市販のもの |
暗くなる前に疲れて寝たのであまり出番なし |
浄水器 |
・ソーヤーミニ |
本体〇付属のパウチ耐久性×(壊れた)結局、下記のウォーターパックを代用 |
充電器 |
・Goal Zero Nomad 7 Plus
・Cheeroモバイルバッテリー |
晴れの日、休憩中に使用、充電〇
今回は1個のみだったが、それぞれのチェックポイントにあると安心 |
救急セット |
・絆創膏、消毒液、薬など |
運よく何も使用しなかった |
地図
コンパス |
・モンベルマップケース
・山と高原地図(国土地理院) |
「石鎚山系」「剣山系」は山と高原地図を、「嶺北エリア」は国土地理院サイトから印刷したものを携帯 |
カメラ |
・SONYデジカメ |
|
水筒 |
・普通のペットボトル
・モンベルフレックスウォーターパック(1.5L) |
フレックスパックなどは壊れやすいため予備必須 |
着替え
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・ユニクロヒートテック(上下)
・NaturehikeFootCover(足)
・Nikeダウンジャケット
・ニット帽、手袋など |
寝る時は乾いた清潔な服を着たいので寝巻専用の衣類を用意
5月の気温であれば四国の平地の真冬程度の寒さを想定していけばOK |
食料 |
・アルファ米、袋麺など |
下記で詳しく紹介 |
食料
今回の食料は、保存のしやすさや重量を考え、インスタントやドライフリースのものをメインに持っていきました。日中の行動食には、チョコレート菓子やドライフルーツを食べました。
当初の予定では14日間の山旅だったため、事前に全ての食料を準備し、約5日毎(各セクション)に分け、最初のセクション用の食料以外は各チェックポイントに配置しました。
振り返ると、1日約2000キロカロリー程しか摂取していませんでしたが、心身共に全く問題なく歩き続けることができました。食料よりも水分補給に気を使いました。
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名前 |
メモ |
朝 |
・インスタント味噌汁
・ドライフリーズ雑炊 |
朝はあまりお腹が空いていないので各1ずつで足りました |
日中 |
・行動食(菓子類)
・インスタント麺(空腹時) |
日中は歩くのに夢中でお菓子でやり過ごすことが多かったです
昼過ぎにかなりの空腹に陥った時にラーメンを食べました |
夜 |
・アルファ米
・インスタント麺 |
一日の最後に一番多く食べました
アルファ米を2袋かラーメンとそれぞれ1食ずつ食べる時もありました |
左から袋麺、アルファ米、ドライフリーズお粥、味噌汁。
行動食は主にチョコ、ドライフルーツで、塩分補給のアメも持っていきました。
まっさんコメント
“西黒森”から”瓶ヶ森”を背景に。
今回の”四国山地連続縦走の旅”は、人生最大かつ最長の冒険でした。
想像以上にきつい山行になりましたが、それを超える精神力と体力を維持し続け、この山旅を全力で楽しむことができ、自分を誇りに思います。
重い荷物を背負い毎日山から山へと歩く。文章にするとただの苦行のように見えます。
しかし、まっさんにとっては一つ一つの景色や動植物との出会いが喜びであり、登山の目的です。毎日山から山へと歩くことは、むしろ、何にも変え難い贅沢極まりない体験です。
今回の山旅は、登山好きの一人として、将来自然ガイドを目指す者として、貴重な経験になりました。今後も、積極的に冒険し、自分のスタイルを磨いていきます。
本記事を読んでの感想や縦走の旅に関する質問などありましたらコメント頂けると嬉しいです。
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